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金色のコルダ3の二次創作小説ブログです
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こんにちは。
今回もちあほうのログになります。
以前Twitterに投稿していたものです。
Twitterのアカウントは(@crd_knm)になります。
相変わらずベッドが似合う蓬生さん!!
私の書く蓬生さん8割くらいはベッドの上にいる気がします。スケベじゃないのに。
いつかちあほうのスケベもかきたいなぁと野望を抱きつつうまく妄想できるまでまだ少し温めておこうと思います。

さて、少し話が変わりますが、
まだ予定ではありますが、もしかしたらちあほう本を一冊作るかもしれません。
また確定しましたらここでもお知らせしようかなと思います。
冊数は一桁です。たぶん。

予定は予定!未定は未定!
ということで、いつものごとく本編は続きからとなります。


拍手[4回]




 とんととん。ピアノを奏でるみたいに軽やかな指が、微かにシーツを揺らす。
 誘われるまま、ふるりと震えた睫毛をほどいた。
 薄く開いた瞼の向こうに橙色の柔らかな光が滲み、音にもならない欠伸をひとつ。咥内へと広げる。
 聴き覚えのあるメロディーだ。時折、知らぬリズムを刻みはするけれど。主軸にある旋律は耳が覚えている。


 次に演奏するための編曲案か。
 それとも、ただ気まぐれに頭に浮かんでいるメロディーを、指に乗せているだけか。
 答えはどちらでもよかった。
 だから、わざわざ問いかけるための言葉を、微かに開いた唇に乗せることはない。
 ただ、ちあき。と、うすぼんやり光に縁取られた恋人の名前だけを旋律に混ぜようとして、けれどその言葉を生み出すことなく空気だけを震わせた。


 昼間ですら雑音の少ない寝室は、陽が暮れるとより静寂を増す。響くのは、自分とそれから傍らに腰かける恋人の呼吸だけ。
 耳に馴染む懐かしい旋律へと耳を澄ませるために、息を潜める必要もない。
 学生というくくりを抜け、部活動としての活動に終止符を打ち、自ら会社をたちあげてなお、手放さなかったヴァイオリン。その練習場所として、このフロアをすべて防音室にしたから、当然といえばそれまでだが。そもそも、高層に位置するこのフロアに届く音の方が珍しい。
 朝にさえずり時を知らせる鳥や、うちつける風音くらいだ。 この窓を越え、旋律を伝えるのは。
 行きかう車の走行音で賑やかな下階との大きな違いの一つだと言ってしまっても差し支えはないだろう。


――けどまぁ、寝室まで防音にせんでもなぁ。


 ただ、ヴァイオリンを弾くためだけなのであれば、練習部屋でもなんでも決めて作ればよかっただろうに。
 千秋はそれをしなかった。
 いつだったか。確か、この部屋に越してきたばかりのころの話だ。思い出し、自然と口角が持ち上がる。
 すべての部屋を防音にしたと、胸を張る千秋に瞳を瞬かせたのは言うまでもない。
 だいたい、やることなすこと極端がすぎるのだ。まぁ、それに便乗している自分が言えたことでもないけれど。
 だから、というのは多少ことなりはするが。さすがに寝室まで防音にしたと聞いたとき、ほんの少し意地の悪い心が働いた。


 むつみごとのためかと、問いかけた口元が緩む。
 うわずった声が否定しても、赤くなった耳は正直だった。
なんてことを問いつつ、もちろん、あの時の自分は、それが正答だと考えてはいない。


 本意は別にある。
 言われずとも、それくらいくみ取ることができた。
 短くもない付き合いだ。
 お互いのことに触れることを許されるほどの距離でいた。
 たいていのことは掌に転がるよう情報を受け取ることができる。多少、おごりがあることは。否めない事実ではあるが。
 それでもおそらく、寝室を含めすべての部屋を防音にした理由に、自分が関わっていることは、本意の一端を担っていることは、疑う由もなかった。


 けれどまぁ、あの千秋の反応を見る限り、完全に下心がなかったわけでもないようだ。
 思い出して、口元が緩む。
 幸い、こちらに背を向けた千秋にばれることはなく、思考はうつつへ結ばれた。
 かわらず、薄ぼんやりと滲む光が、千秋の影を縁取る。
 指先に奏でた音は、いつのまにか微かな歌声を添えていた。
 覚えのあるメロディーへと、耳慣れた声が重なる。
 胸の内へしみいるような音色に、わずかに開いていた瞼を落とした。
 とんととん。刻む指先のリズムが、音と振動を微かに伝える。
 その音を追いかけるよう、ゆったりと掌をシーツに滑らせた。


「悪い。起こしたか」


 皮膚の硬い指先に触れたと同時に声が落ちた。
 問われた言葉へと返答を渡さぬまま間を置けば、奏でていたメロディーの代わりに苦笑が宙を震わせる。
 力を抜いた指の形を確かめるよう、よく知った手が肌に滑った。指先をすくい、掌が差し込まれる。
 瞼の向こう。橙色に滲んだ世界に浮かぶ姿を、表情を想像するに易い。


 ふっと、攫われた掌が宙に浮いた。
 おもわず力を込めた手へと絡めた指が勝ち誇ったように撫で笑う。


「バレてるぞ」
「いつの間にそない器用ななこと覚えたん?」


 持ち上げた瞼に影が映った。
 くふくふと肩を揺らして、絡む手を袂へ寄せる。


「さっきの」
「ん?」
「もっかい聴かせて」


 整えた爪先へ唇を触れさせる。
 わざとらしい大仰なため息に口角を緩め、絡めた指を解いた。


「意見、聞かせろよ」


 宙へ浮かせたままの手を振り、両肩をベッドへ沈める。
 開けた視界が暖かな光に包まれて、逃れるように瞼を閉じた。
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藍染
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読書/ゲーム
自己紹介:
藍染と書いて「あいぞめ」と読みます。
・ちあほう
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