「光の一筋」に拍手ありがとうございました。
こんばんは。
本日のお話はツイッターの方でリクエストいただいたお話です。
リクエストをいただいて一か月ほど経ってしまって…遅くなってしまって申し訳ありませんでした。
私も一度は書きたかった話なのでとても楽しく書かせていただきました。
話の内容的には楽しい話ではないんですがね。
しょた蓬生さんとお母さんが喧嘩する話です。
幼い頃は自分が”普通”じゃないってことをわかってはいながらやっぱり割り切れないことがあったんじゃないかなと思います。
そう簡単に割り切れることではないと思うので。特に小さいころなんて遊びたくて仕方のないときがあったんじゃないかなぁって。
そんな妄想をしながら日々を過ごしてます。
今回は腐要素はありません。
ただの私の妄想です。
蓬生さんのお母さん捏造してます。
本編は「続きから」お願いいたします。
"普通"っていったい何なのだろう。
幼いころの自分にとってこの疑問は常に付きまとうものだった。
自分にとっての"普通"は真っ白な病室か、寂しくないようにと買い与えられたぬいぐるみに囲まれたベッドの上。
体育の授業には出られない。
毎日小学校にも行けない。
それが小学一年生になる自分の"普通"で"当たり前"だった。
けれど、世間ではそれを"普通"とは呼ばないらしい。
そんなことくらい、幼いながらも理解していた。――はずだった。
あれは小学一年生の冬の入り頃。
秋と冬の狭間。
元気の代名詞のような幼馴染はまだまだ寒くないと薄着を貫き通してはいるが、ニットの服が手放せなくなった時期の話だ。
季節の変わり目から少し熱を出してはいたけれど、まだまだ遊びたい盛りの年齢の自分にとって黙って部屋に閉じこもって眠ることは酷く退屈でたまらなかった。
そんな時幼馴染である千秋からかかってきた電話。
両親は仕事に出ていて家には誰もいない。
自分が風邪で寝込んでいることなど知らなかったのだろう。
明るく元気な声で「暇だったら遊ばないか?」と誘われ、二つ返事でうなずいた。
待ち合わせの近所の公園へ向かう。
徒歩十分もかからない道のりを、なんだかいつもより遠いなぁと感じながら歩いた。
辿り着けば、ぱぁっと笑顔を輝かせた千秋がすべり台からすべり降り砂場に着地する。
「遅れてごめんなぁ」
「気にするな。……出てきても大丈夫だったのか?」
顔でも赤かったのだろうか。
心配そうな顔を見せた千秋に「大丈夫やよ」と笑顔を返した。
汗も出ていないし、体も重たくないのだから。
半分自分に言い聞かせるように心の中で大丈夫大丈夫と繰り返して砂場に足を踏み入れた。
結果は、大丈夫などではなかったのだけれど。
最後の記憶に残る声は、泣きそうな慌てた千秋の声。
そして意識が戻って最初に見えたのは、怒った母親の顔だった。
「千秋は?」
「帰ってもらいました」
敬語で返されたことで母親の怒りの度合いがひしひしとわかってしまって、口元まで掛け布団を引き寄せる。
こんなに怒った母を見るのは初めてだった。
「……千秋は、悪ないんよ。俺が自己判断で遊びに行ける思っただけで……」
これだけは伝えておかなければならない。
千秋は悪くないのだと。
すべては自分が話にのったからなのだと。
ぐっと布団を握りしめ、一度隠した口元を引っ張り出す。
怒りの矛先をせっかく誘ってくれた幼馴染に向けてはいけない。
母親の怒りをどうにかするよりも、その思いが勝ってしまって、自分にしては珍しく声色を焦らせてしまう。
わずかに眉間のしわを濃くした母親に、握り締めた指の力を強くした。
「……どうして、大丈夫やとおもったん?」
「普通の子やったら普通に遊びに行ける体温やったし、しんどなかったから」
「"普通の子"やったらな」
溜息を吐き、前髪を掻き上げて視線がそらされる。
その動作と言葉がなんだか心に引っかかった。
「……俺は、俺の体は……"普通"やないっていうん?」
口にしたのは、無意識だった。
握りしめた手をそのままに置きあがり、ベッドサイドにいる母親を見上げた。
自分が"普通"に属さないことくらい。
自分の"普通"が"普通"じゃないことくらい理解していた。
――はずだった。
けれど……
「当たり前やろっ」
多分、反射的に返した言葉だったのだろう。
言ってしまった後に、後悔したように、罰の悪そうに一度あわされた視線が口元にあてた手と共にそらされる。
わかっていたはずだった。
理解していたはずだった。
自分は"普通"ではないのだと、自分に言い聞かせてきたつもりだった。
けれど。
けれど。
どうしてだろう。
「……そうやね、ごめん。普通や、なくて」
胸が痛い。
胸が痛いのに。
零れたのは涙ではなく笑顔だった。
・ちあほう
・新八木
・長八木
がメインになれたらいいな。
小説は基本「続き」の中に収納しています。
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